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INTERVIEW01

救急から訪問へ。
看護師・新海が選んだ道

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新井湯で新たに立ち上げる訪問看護ステーションの管理者である新海嘉美さん。18年間、救急病院で看護師として勤務したのち、訪問看護師としての道を選んだのは、患者様一人ひとりと向き合う時間を持つことで、一人ひとりにもっと寄り添いたいという思いからでした。
新海さんの経歴や、訪問看護師になった経緯、看護師としての仕事への向き合い方などについて語ってもらいました。

──まずは、新海さんのご経歴を教えてください。

私は、看護師として18年間、三次救急の病院で働いていました。救急医療から終末期医療まで対応している病院で、心肺停止の患者様も運ばれてくるような、まさに命の現場でした。

忙しなく患者様の対応をしていた日々で、ご利用者様やそのご家族ともあまり会話する時間がないと感じていたんです。朝から晩まで、ひたすら動きっぱなしの毎日でした。

【これまでのキャリアとこれから】18年間:第三次救急病院→2年間:訪問看護、現在:湯〜亀で訪問看護立ち上げ

もちろん、命を助けることなので、やりがいはありました。でも正直、「この患者様は、どんな人なんだろう」って思う、心の余裕がなかったんです。一人ひとりと向き合いたくても、それができない。そんなもどかしさがありましたね。

──そうした環境の中で、「訪問看護」に興味を持つようになったきっかけは?

ちゃんと患者様の話を聞きたいと思ったからです。患者様がどんな人生を歩んできたのか、何を大切にしているのか。病気じゃなくて、「人」を見て関わりたいと思っていました。でも、慌ただしい救急ではそれができない。だから「在宅ならどうだろう」と、少しずつ興味を抱くようになっていきました。

患者様の中には、在宅看護を受けることについて「迷惑をかけたくないから、家に帰らなくていい」とおっしゃる方がいます。

急に苦しくなったらどうしよう、家族に負担がかかるかもしれない、っていろいろ考えてしまうのだと思います。不安なんですよね。本当は自宅に帰りたいのに、諦めているように見えましたね。そういった経験もあって、「だったら、私たちがそばにいればいい」と思ったんです。

何かあったとき、24時間いつでも駆けつけられる体制を整えれば、「家にいていいんだ」って安心してもらえる。それができるのが、訪問看護なのではないかと考えました。

──看護のお仕事を続けてきて、印象に残っているエピソードを教えてください。

看護師3年目で、初めて看取りの場面に立ち会った時のことです。ご家族と一緒に泣いてしまって、先輩に叱られたことがありました。
「看護師なんだから泣いちゃだめ。我慢しなさい」と。

職業柄、何度も人の死に立ち会っていると、「人の死に慣れてしまうのでは」と言われることもあるんですけれど、そんなことはありません。やっぱりご利用者様と対話し、その人を知っていくと、いざ看取りの場面に立ち会ったときには涙がこぼれます。

だから、私はスタッフと一緒に泣いています。若い職員にも、「ご利用者様と向き合えたってことだから、泣いていいよ」って言っています。看護師も人間ですから、その人の人生の最期に立ち会って、心が動かされるのは自然なこと。だから、それを我慢する必要はないと思っています。

──救急での経験が、今に活きていると感じることは?

たくさんありますよ。特に「異変を見逃さない」ことですね。呼吸の仕方や顔色、表情、ほんのちょっとの違和感を察知する力は、救急で鍛えられました。

訪問看護は、一人でご利用者様のご自宅に行きます。だからこそ、自分の観察力と判断力がすべてだと思うんです。あの18年の経験があったから、今は迷わず動けているのだろうと感じています。

ただ、だからといって、訪問看護は「救急を経験していないと難しい」ということではありません。観察力も判断力も、一つひとつの現場経験の積み重ねで自然と身についていくものです。

実際に、病院勤務を経て訪問看護に入ったスタッフも多く、最初は先輩と同行しながら学べるようにトレーニングも行います。誰かのそばで安心を届けたいという気持ちさえあれば、経験の有無に関わらず、十分に力を発揮できる仕事だと思っています。

──新井湯での訪問看護立ち上げに関わることになった経緯を教えてください。

前職も、この地域の訪問看護ステーションで働いていたので、このエリアの環境や住んでいる方々の雰囲気はよく知っていたんです。そんな中で、新井湯の代表とご縁があり、お声がけをいただきました。

実は、20年ほど前に新井湯のデイサービスで、パートとして働いたんです。その頃から、銭湯をはじめ、地域に根ざしていて「人が自然と集まる場所だな」「なんだかここはあたたかいな」と思っていました。

だから、今回改めてお邪魔したときに「いつの間に、こんなに事業展開してたの?」とびっくりしました。通所、訪問介護、小規模多機能などの高齢者向け支援だけでなく、子ども向けのイベントや予防医療、地域に開かれた場の提供など、幅広い年代・ニーズに対応した取り組みをしていたからです。

地域の高齢者向けの支援だけでなく、子ども向けのイベントや予防医療にも取り組んでいて、本当に地域全体のケアをしている場所なんだなと思いました。

──新井社長との再会も、決め手の一つだったんですよね?

はい。20年前から変わらず、あのパワフルな雰囲気で(笑)。お会いしたとき、「新海さん、やってみようよ」って背中を押してくれました。
代表の新井と話していると、自然と「私、ここでやってみたい」という気持ちが湧いてきました。勢いがあるだけじゃなくて、人を信じて任せてくれる人なんですよね。だからこそ私も「管理者として、ゼロから立ち上げる」というチャレンジに踏み切れました。

──立ち上げメンバーとして、今どんな気持ちですか?

「ようやく自分のやりたい看護ができる場が持てた」という気持ちで、とても前向きです。

今回、立ち上げメンバーとして関わることになり、「私が理想とする訪問看護の形を一緒に作っていこう」と思えたのは大きいです。マニュアル通りじゃなく、ご利用者様やご家族の本音に寄り添って動けるような、そんなあたたかいステーションを目指したいと思っています。

ただ処置をするだけじゃない、「この人らしく生きる」を支える看護を、地域の中に根づかせたい。そう思って、今、準備を進めています。

もし今、働き方に迷っていたり、「もっとご利用者様一人ひとりに向き合いたい」と思っている方がいたら、訪問看護という選択肢をぜひ知ってほしいです。管理者として、そのことを大事にする訪問看護を創っていきたいと思っています。新たに立ち上げるので、「ルール作りからやってみたい」という方、「こういう訪問看護ステーションをやりたい」というビジョンのある方がいたら、本当に心強いです。

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